百人一首が編まれ、俳人が愛した花鳥風月

京都の西方に「浄土」あり

 成等山正覚寺  略縁起

苔庭に句碑が残る正覚寺南庭園

1632(寛永9)年、京都・西陣の地にて、浄土宗大本山清浄華院の末寺として開山。18世紀に遊行僧・円説が正覚寺に入山、念仏三昧の日々を送った。円説は浄土宗で最初に木魚念仏を始めたことで知られる。

戦中戦後は荒廃。再起を期して藤原定家の庵があった小倉山の麓に移転する。すると、雑誌ホトトギスの4S(阿波野青畝、高野素十、山口誓子、水原秋桜子)らが正覚寺に集い、複数の句碑を境内に残した。近隣の落柿舎とも縁が深い。

秋にはムラサキシキブが身を結び、紅葉の隠れた名所としても知られている。

世界的景勝地の嵯峨嵐山の中心にありながら常に美と静寂を保った環境は稀有。